特定創業支援等事業とは|開業前に受けたい国の創業支援
| 株式会社 軽減後の最低額 | 7.5万円 |
|---|---|
| 合同会社 軽減後の最低額 | 3万円 |
| 創業型の補助上限 | 200万円 |
| 第4回締切(記事時点) | 12月15日 |
| 分類 | 目的別ガイド |
| 所管 | 中企庁・国税庁・日本公庫 |
| 最終確認日 | 2026/10/15 |
| 出典 | 15本 |
この記事の要約
市区町村の創業塾などを受けて「特定創業支援等事業」の証明書をもらうと、会社設立の登録免許税が半分になり、公庫の特別利率や持続化補助金<創業型>の申請にもつながります。受ける時期と、自治体の支援の探し方を整理しました。
本文
これから店を開く人が、開業の前にやっておくと得をする国の制度があります。市区町村が商工会議所・商工会や金融機関と組んで行う創業塾や継続的な個別相談、いわゆる「特定創業支援等事業」です。最後まで受けて市区町村から証明書をもらうと、会社を設立するときの登録免許税が半分になり、日本政策金融公庫の創業融資では特別利率の区分に入り、小規模事業者持続化補助金<創業型>の申請もできるようになります。どれも証明書が前提になるため、受ける順番と時期を先に確かめておきます。この記事では、2026年10月15日に中小企業庁・国税庁・法務局・日本政策金融公庫・補助金事務局の公式情報で確認した内容を整理します。
WHAT01特定創業支援等事業とは
産業競争力強化法では、市区町村が民間の創業支援事業者(地域金融機関、NPO法人、商工会議所・商工会等)と連携して作る「創業支援等事業計画」を国が認定します。その計画の中で、経営・財務・人材育成・販路開拓の知識が全て身につく継続的な支援として位置づけられたものが「特定創業支援等事業」です。中小企業庁のガイドラインでは、原則として4回以上、1か月以上の継続的な期間で行う支援を想定しており、代表例として創業塾、継続して行う個別相談支援、インキュベーション施設の入居者への継続支援が挙げられています。
この一連の支援を全て受けた人に、計画の認定を受けた市区町村が「特定創業支援等事業による支援を受けた証明書」を発行します。民間の支援機関が実施する創業塾でも、証明書を出すのは市区町村です。創業支援等事業計画は、令和8年6月25日現在1,414件(1,580市区町村)が認定されています(2026年10月15日に中小企業庁の公表ページで確認)。
| 証明の対象になる人 | 事業を営んでいない個人で、特定創業支援等事業の支援を受けて6か月以内に個人で開業する、または会社を設立する具体的な計画を持つ人。個人事業を始めてから5年を経過していない人、設立から5年を経過していない会社も対象です(産業競争力強化法の「創業者」の定義。中小企業庁のガイドラインで確認) |
|---|---|
| 対象にならない例 | 「事業を営んでいない個人」には、経営者である役員(法人の代表権をもつ代表取締役等)は含まれません(設立から5年を経過していない会社は、上の行のとおり対象です)。前の店主から事業を引き継いで開業する事業承継は「事業を営んでいない個人が新たに事業を開始すること」に当たらないため、証明書の発行対象外とされています |
| 受ける場所 | 出店予定地の市区町村、または市区町村と連携している商工会議所・商工会、金融機関などの支援機関。何が特定創業支援等事業に当たるかは市区町村ごとの計画で決まっています |
BENEFITS02証明書で受けられる優遇
中小企業庁の資料「特定創業支援等事業を受けるメリット」は、証明書による優遇を次のように並べています。ガイドラインでは、創業者が証明書を持って法務局、信用保証協会(金融機関)、日本政策金融公庫、補助金事務局へ申請すると、これらの特例を受けられると説明されています。
| 会社設立の登録免許税 | 株式会社・合同会社の設立登記で、税率が資本金の額×0.7%から×0.35%になり、最低額も株式会社は15万円から7.5万円、合同会社は6万円から3万円になります |
|---|---|
| 日本政策金融公庫の融資 | 新規開業・スタートアップ支援資金で、証明書を取得した人が必要とする資金(原則として土地にかかる資金を除く)は特別利率Aの対象(有効な証明書の場合に限る)。中小企業庁の資料では「基本金利▲0.40%」と説明されています |
| 信用保証協会の創業関連保証 | 創業関連保証を、事業開始6か月前から利用できます(中小企業庁の資料では「通常2か月前」。同資料の注記では、通常の対象は1か月以内に個人開業又は2か月以内に会社設立する者等)。中小企業庁の資料では保証限度額3,500万円。市区町村によっては保証料の一部補助もあります |
| 持続化補助金<創業型> | 証明書(認定市区町村が発行したもの)の写しが申請に必要で、証明書が無いと申請できません |
このほか、市区町村によっては独自の補助金や融資などの支援を設けていると中小企業庁の資料に書かれています。開業資金の全体の組み立て方は飲食店開業の資金調達まとめ、業種別には美容室の開業資金、小売店の開業資金と補助金で整理しています。
TAX03会社設立の登録免許税が半分になる
会社の設立登記には登録免許税がかかります。国税庁の税額表では、株式会社の設立は資本金の額の1,000分の7(15万円に満たないときは申請件数1件につき15万円)、合同会社の設立は資本金の額の1,000分の7(6万円に満たないときは1件につき6万円)です。資本金が小さい会社では最低額の15万円・6万円になることが多く、法務局の申請書記載例でも資本金1,000万円の株式会社の登録免許税は15万円です。
特定創業支援等事業の支援を受けて会社を設立した場合は、租税特別措置法第80条第3項により、株式会社は資本金の額に1,000分の3.5を掛けた額(7万5千円に満たない場合は1件につき7万5千円)、合同会社は同じく1,000分の3.5(3万円に満たない場合は1件につき3万円)に下がります。適用は令和9年3月31日までの間に登記を受けるものに限られています(2026年10月15日にe-Govの租税特別措置法で確認)。その後も続くかどうかは、税制改正の内容で確認してください。
- 対象は株式会社と合同会社の設立だけ──中小企業庁のQ&A集では、合名会社・合資会社、一般社団法人・一般財団法人などの設立や、会社を設立して創業した者が組織変更を行う場合の登記は対象外とされています。個人事業主として開業する場合は会社の設立登記が無いので、この軽減は関係しません
- 証明を受けるのは発起人で代表者になる本人──会社法上の発起人で、かつ会社の代表者となって会社を設立しようとする個人が証明を受ける必要があります
- 同じ市区町村で設立する──Q&A集では、登録免許税の軽減には支援を行った市区町村と同じ市区町村での創業が必要とされています(複数の市区町村が共同で計画を作っている場合は、そのいずれでもよい)
- 登記の申請書に証明書を添付する──租税特別措置法施行規則で、設立登記の申請書に市区町村長の証明書を添付することが定められています
- 証明書には有効期限がある──Q&A集は、有効期限を設ける理由を租税特別措置法第80条第3項の適用期限が令和9年3月31日であるためと説明しています。期限は証明書の記載で確認してください
- 個人事業から法人成りする場合──Q&A集では、創業5年を経過した個人事業主の法人登記は対象外とされています。個人事業を始めて5年を経過していなければ証明の対象になりうるので、市区町村に確認してください
LOAN04日本政策金融公庫の創業融資での扱い
開業資金の融資でまず名前が挙がるのが、日本政策金融公庫(国民生活事業)の新規開業・スタートアップ支援資金です。公式ページの概要は次のとおりです(2026年10月15日に確認)。
| 利用できる人 | 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方(適正な事業計画を策定し、遂行する能力が十分あると認められる方に限る。創業計画書の提出等で内容を確認) |
|---|---|
| 融資限度額 | 7,200万円 |
| 返済期間 | 設備資金20年以内、運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内) |
| 利率 | 基準利率。創業塾や創業セミナーなど(認定特定創業支援等事業)を受け、認定市区町村が発行する証明書を取得した方(有効な証明書の場合に限る)が必要とする資金(原則として土地にかかる資金を除く)は特別利率A。このうち女性の方、35歳未満の方、55歳以上の方のいずれかに該当する方は特別利率B。女性の方、35歳未満または55歳以上の方には、証明書とは別に特別利率Aの区分もあります |
| 担保・保証人 | 希望を聞きながら相談(公式ページの表記) |
あわせて公庫は、新たに事業を始める方や事業開始後に税務申告を2期終えていない方に、原則として無担保・無保証人で各種融資制度を使えること、利率を原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)引き下げる「創業支援貸付利率特例制度」があることを案内しています。こちらは証明書の有無を問わない創業期全般の扱いです。どの引き下げがどう重なるかは借りる人の条件や融資制度で変わるので、支店で確認してください。
「証明書があれば融資の要件が緩和される」と聞くことがありますが、2026年10月15日に確認した公庫の公式ページでは、証明書による扱いは利率の区分(特別利率A)として書かれており、自己資金の額などの要件は記載されていません。いずれにしても審査があり、「審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます」と明記されています。
SUBSIDY05持続化補助金<創業型>は証明書が申請の条件
小規模事業者持続化補助金<創業型>は、特定創業支援等事業の支援を受けた創業間もない小規模事業者が、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む販路開拓等を補助する制度です。第4回公募の公募要領(第8版・2026年5月27日)の要点は次のとおりです。
| 申請の要件 | 特定創業支援等事業による支援を受けた日および開業日(設立年月日)が、公募締切時から起算して過去1か年の間であること。第4回なら2025年12月15日〜2026年12月15日の期間に、支援を受けた日と開業日の両方が入っている必要があります(事務局サイトの表記)。 |
|---|---|
| 対象になる事業者 | 小規模事業者(商業・サービス業〈宿泊業・娯楽業を除く〉は常時使用する従業員の数5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下)。店舗がオープン準備中であるなど、創業間もなく未だ事業活動を開始していない事業者も対象になりえますが、補助事業終了までに商品またはサービスの提供を開始する必要があり、満たさない場合は補助金が交付されません。申請時点で開業していない創業予定者(開業届上の開業日が申請日よりも後の場合を含む)は対象外です。 |
| 補助率・上限 | 補助率2/3、補助上限200万円。2023年10月1日以降に創業した事業者で、補助事業の終了時点において適格請求書発行事業者の登録を受けている場合は、インボイス特例として50万円の上乗せ。インボイス特例を希望して、創業型とインボイス特例の要件を1つでも満たさない場合は、上乗せ部分だけでなく補助金全体が交付されません。 |
| 対象経費 | 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費。交付決定日以降に発生し、補助事業実施期間中に支払が完了した経費に限られます。 |
| 第4回の日程 | 申請受付は2026年11月5日から2026年12月15日17:00まで(2026年10月15日に公募要領第8版で確認)。商工会・商工会議所の事業支援計画書(様式4)の発行受付は2026年12月4日まで。受付締切以降の発行依頼は、いかなる理由があってもできません(2026年10月15日に公募要領第8版で確認。予定は変更する場合があります)。 |
| 申請に必要なもの | GビズIDプライムのアカウント、商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)、認定市区町村が発行した証明書の写し(有効期限が切れていても要件に適合していれば提出書類として認められます)など。 |
- 開業準備の支払いには使えない──対象は交付決定日以降の経費です。物件の契約や内装工事など、開業前に払うお金をこの補助金でまかなうことはできません
- 支援を受けた地域以外で開業しても対象──登録免許税の軽減とは違い、創業型は特定創業支援等事業による支援を受けた地域以外で創業した場合も対象になると公募要領に書かれています
- 受けるのは代表者本人──法人は代表者、個人事業主は本人が支援を受けている必要があります。家族専従者や従業員が受けた支援では申請できません
- 法人成りの場合──個人事業の開業日から1年を経過している場合は申請できません
- 持続化補助金の利用歴──創業型で申請中・採択済み・補助事業を実施した事業者は申請できません。一般型通常枠で申請中・採択済み・補助事業を実施した事業者も対象外で、一般型との重複申請もできません
- GビズIDは早めに取る──暫定アカウントでは申請できません。取り方はGビズIDプライムの取り方にまとめています
持続化補助金の基本的なしくみや一般型との違いは持続化補助金の解説記事へ。採択後の見積書や実績報告の流れは補助金は採択後が本番で説明しています。
TIMING06開業前にやる順番
- 出店する市区町村の計画を調べる──どの創業塾・個別相談が特定創業支援等事業に当たるか、いつ開かれるかを確認します。会社を設立するなら、登録免許税の軽減のために設立する市区町村と同じ市区町村で受けるのが前提です
- 支援を最後まで受ける──原則4回以上・1か月以上の一連の支援の全てを受けた人が、証明書の対象になります。開業日から逆算して、日程に余裕をもって申し込みます
- 市区町村に証明書の発行を申請する──申請書には会社の商号(屋号)、資本金の額、業種、事業の開始時期などを書く欄があります
- 証明書を使う──会社設立の登記申請書に添付し、公庫や信用保証協会の手続きにも使います。有効期限を確認しておきます
- 開業後、創業型の公募に合わせて申請する──支援を受けた日と開業日の両方が公募締切から過去1か年に入っているかを、申請する回の公募要領で確かめます
登録免許税の軽減は設立登記のときにしか使えないので、会社で開業する人は登記の前に証明書を手元にそろえておく必要があります。
LOCAL07自治体の創業補助金の探し方
自治体独自の創業補助金・家賃補助・保証料補助は、市区町村ごとに内容も有無も違うため、この記事では個別の制度を挙げません。探すときは、次の順に当たってください。
- 中小企業庁の「市区町村別の認定創業支援等事業計画の概要」を開く──都道府県ごとのページに市区町村と認定時期が並び、計画概要のPDFでは連携している支援機関と支援の内容(相談窓口、創業塾、セミナーなど)が確認できます。
- 市区町村の創業支援の担当課に聞く──独自の補助金や保証料補助などがあるか、その要件に特定創業支援等事業の証明書が入っているかを確認します
- 計画に載っている商工会議所・商工会に相談する──創業塾の日程に加えて、持続化補助金<創業型>の事業支援計画書の発行もここが窓口です
国の補助金も含めた探し方の全体は補助金の探し方、年間の公募日程は補助金カレンダーで確認できます。
FAQ08よくある質問
CONTACT09相談先
特定創業支援等事業と証明書は出店予定地の市区町村、登記は法務局、融資は日本政策金融公庫の支店、持続化補助金<創業型>は商工会議所・商工会と補助金事務局が窓口です。当サイトは申請代行を行わず、特定の業者・サービスをおすすめしません。
※本記事は情報提供を目的とするもので、融資・補助金の採択や税の軽減の適用を保証するものではありません。内容は2026年10月15日に、中小企業庁の創業支援ページ・資料(特定創業支援等事業を受けるメリット、登録免許税の軽減、創業支援等事業計画のガイドラインとQ&A集)、e-Govの租税特別措置法、国税庁の登録免許税の税額表、法務局の申請書記載例、日本政策金融公庫の公式ページ、小規模事業者持続化補助金<創業型>第4回公募の公募要領(第8版)で確認したものです。
出典
- 中小企業庁「特定創業支援等事業を受けるメリットについて」
- 中小企業庁「会社設立時の登録免許税の軽減について」
- 中小企業庁「産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画のガイドライン」(2026年8月更新)
- 中小企業庁「同ガイドライン Q&A集」(2026年8月更新)
- 中小企業庁「市区町村別の認定創業支援等事業計画の概要」
- 租税特別措置法 第80条第3項(e-Gov法令検索)
- 国税庁 タックスアンサー No.7191 登録免許税の税額表
- 法務局「株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない株式会社の発起設立)」記載例
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
- 小規模事業者持続化補助金<創業型> 第4回公募 公募要領(第8版・2026年5月27日)
- 中小企業庁「創業・スタートアップ支援施策について」 ─ https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/sougyo_startup.html
- 日本政策金融公庫「創業融資のご案内」(無担保・無保証人、利率0.65%引下げ) ─ https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/sogyoyushi.html
- 日本政策金融公庫「創業支援貸付利率特例制度」 ─ https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/sogyo_tokurei_m.html
- 小規模事業者持続化補助金<創業型>事務局サイト(第4回の「過去1か年」の期間) ─ https://r6.jizokukahojokin.info/sogyo/
- 中小企業庁「小規模事業者持続化補助金(創業型)」概要資料(2026年5月27日) ─ https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r8/jizoku_sougyo.pdf
確認状況
2026/10/15
編集部
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