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補助金・助成金に税金はかかる?圧縮記帳と計上時期

申請の基本一次情報 15本
公開 2026/10/14最終確認 2026/10/14執筆 編集部
圧縮記帳の根拠 法人税法第42条
個人の返還不要の判定日12月31日
計上の時期入金日が基準とは限りません
補助金の消費税かかりません
分類申請の基本・用語
所管国税庁
最終確認日2026/10/14
出典15本

この記事の要約

事業で受けた補助金・助成金は、法人は益金、個人事業者は事業所得の収入になるのが原則です。設備に充てた補助金の圧縮記帳と個人の総収入金額不算入の要件、雇用関係助成金の扱い、計上する年度を条文と国税庁の資料で整理。

本文

補助金や助成金が入金されたら、「これに税金はかかるのか」を確かめておく必要があります。結論から言うと、事業でもらった補助金・助成金は、原則として課税の対象です。法人なら法人税の計算上「益金」に、個人事業者なら事業所得の「総収入金額」に入ります。ただし、機械や設備など固定資産の購入に充てた補助金には、法人の「圧縮記帳」(法人税法第42条)、個人の「総収入金額不算入」(所得税法第42条)という特例があり、受け取った年にまとめて課税されないようにできます。この記事では、2026年10月14日にe-Gov法令検索の条文と国税庁の通達・タックスアンサー・文書回答事例で確認した範囲で、しくみと計上の時期を整理します。

この記事は条文と国税庁の公表資料の内容を紹介するもので、個別の税務判断ではありません。自社の補助金がどの扱いになるか、どの事業年度に計上するかは、交付決定通知書・額の確定通知書を持って、決算や確定申告の前に顧問の税理士か税務署に確認してください。

OVERVIEW01結論──補助金は原則として課税、設備分には特例

法人法人税法第22条第2項により、資本等取引以外の取引に係る収益は益金に算入されます。国庫補助金等の交付を受けた法人の経理について、東京国税局の文書回答事例も「補助金の全額を益金の額に算入する」という前提で回答しています
個人事業者事業のために受けた補助金は、事業所得の総収入金額に入ります。名古屋国税局の文書回答事例は、事業用の機械装置の購入に対する補助金を「事業の遂行に付随して生じた収入」として事業所得に当たると回答しています
固定資産に充てた補助金法人は圧縮記帳(法人税法第42条〜第44条)、個人は総収入金額不算入(所得税法第42条・第43条)を使えます。要件を満たし、申告書に記載した場合に限られます
消費税国や地方公共団体等から受ける奨励金・助成金や補助金等のように、特定の政策目的の実現を図るための給付金は資産の譲渡等の対価に当たらず、消費税はかかりません(消費税法基本通達5-2-15)

個人事業者については、所得税基本通達34-1(9)に「国庫補助金等のうちこれらの規定の適用を受けないもの」は一時所得に当たるという定めがあります。そのため「設備の補助金は一時所得として申告できるのでは」という照会が出されたことがありますが、名古屋国税局は、事業用の機械装置の購入に対する補助金は事業所得に当たるので一時所得には当たらず、「事業所得の総収入金額に算入することとなります」と回答しました。この回答は名古屋国税局としての見解で、照会者の申告内容等を拘束するものではないと付記されていますが、事業の設備のための補助金を一時所得として申告できると考えるのは危険です。補助金と助成金の制度上の違いは補助金と助成金の違いで整理しています。

CORPORATION02法人の圧縮記帳──設備に充てた補助金(法人税法第42条)

設備を買うための補助金をそのまま益金に入れると、補助金をもらった年に法人税がかかり、設備を買うための資金がその分だけ足りなくなります。これを調整するのが圧縮記帳です。法人税法第42条第1項の要件を、条文の言葉に沿って並べると次のとおりです。

対象の補助金固定資産の取得または改良に充てるための、国または地方公共団体の補助金・給付金と、政令で定めるこれらに準ずるもの(法人税法施行令第79条)。条文ではまとめて「国庫補助金等」と呼びます
返還不要の確定その国庫補助金等の返還を要しないことが、事業年度終了の時までに確定していること
固定資産の取得事業年度終了の時までに、交付の目的に合った固定資産を取得または改良していること
できること補助金の額に相当する金額(圧縮限度額)の範囲内で、その固定資産の帳簿価額を損金経理で減額するか、確定した決算で積立金として積み立てる(剰余金の処分による積立金も可・法人税法施行令第80条)。その金額が損金に算入されます
申告の条件確定申告書に、損金に算入する金額の明細を記載した場合に限り適用されます(同条第3項)
清算中の法人対象外です(同条第1項)

「返還を要しないことが確定」しているかどうかについて、法人税基本通達10-2-1は、「交付の条件に違反した場合には返還しなければならない」「一定期間内に相当の収益が生じた場合には返還しなければならない」といった一般的な条件が付いていることは判定に関係しないとしています。そのうえで、補助金等適正化法第15条により交付すべき額が確定し、その旨の通知を受けた国庫補助金等は、返還を要しないことが確定したものに当たる、と注記しています。

事業年度末の時点でまだ返還不要が確定していない場合は、第42条ではなく第43条の出番です。補助金の額以下の金額を、確定した決算において特別勘定を設ける方法で経理すれば損金に算入できます。これも、確定申告書に損金算入に関する明細を記載した場合に限られます(同条第4項)。その後、返還を要しないことが確定したときは、第44条によりその固定資産の圧縮記帳を行い、特別勘定は取り崩します(法人税法第43条第2項・同法施行令第81条)。

圧縮記帳は税金が消える制度ではありません。数字は説明のための例ですが、300万円の機械を買うために200万円の補助金を受け、同じ事業年度に圧縮記帳をすると、補助金200万円の益金に対して200万円の圧縮損が損金になり、補助金の分はその年の所得を増やしません。代わりに、法人税法施行令第54条第3項により、この機械の取得価額は損金に算入した金額を差し引いた100万円とみなされ、以後の減価償却は100万円をもとに計算します。減価償却費が小さくなる分だけ、後の年の所得が増えるしくみです。

設備を先に買い、補助金の額が確定するのが翌事業年度以降になることもあります。法人税法第42条第1項は、固定資産が前の事業年度に取得した減価償却資産である場合の圧縮限度額を政令で計算するとしており、法人税法施行令第79条の2は、返還不要が確定した日の帳簿価額に「取得に要した金額」に対する「補助金の額」の割合を掛けて計算すると定めています。購入から確定までに償却が進んでいれば、圧縮できる額は補助金の額より小さくなります。年度をまたぐ場合は、計算と別表の書き方を税理士に確認してください。

SOLE PROPRIETOR03個人事業者の総収入金額不算入(所得税法第42条)

個人事業者にも、法人の圧縮記帳にあたる特例があります。国税庁のタックスアンサーNo.2202は、固定資産の取得や改良に充てるために国庫補助金等の交付を受け、交付の目的に合った固定資産の取得や改良をしたときは、「確定申告書に一定の事項を記載することを条件として」その固定資産に充てた部分の金額を総収入金額に算入しないと説明しています。

返還不要の確定その国庫補助金等の返還を要しないことが、その年12月31日までに確定していること(所得税法第42条第1項)
固定資産の取得その年12月31日までに、交付の目的に合った固定資産の取得または改良をしていること
申告の方法「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を添付した確定申告書を、所轄の税務署長に提出します(タックスアンサーNo.2202)
その後の減価償却固定資産の取得費は、実際に要した金額から総収入金額に算入しなかった補助金の額を差し引いた残額になり、減価償却費もその額をもとに計算します(同・所得税法施行令第90条第2項)
12月31日に未確定のとき所得税法第43条により、その年は総収入金額に算入しません。確定申告書に同条の適用を受ける旨や不算入とする金額などを記載した場合に限られます(同条第4項)。返還不要が確定した年に、固定資産の取得・改良に充てた部分(所得税法施行令第91条の計算)を除いて総収入金額に算入します

前の年に取得した減価償却資産に充てる補助金の場合、不算入にできる金額は補助金の全額ではなく、所得税法施行令第90条第1項の割合で計算した金額になります。法人と同じく、年をまたぐ場合は計算に注意が要ります。

TIMING04いつの年度に計上するか──入金日が基準とは限らない

補助金は後払いが原則で、交付決定から入金までに時間がかかります(流れは補助金は採択後が本番|交付決定〜入金の流れ)。税金の計上時期を考えるときに押さえたいのは、入金した日が基準になるとは限らないという点です。

国の補助金は、補助金等適正化法の流れに沿って、交付決定(第6条)→事業の完了後の実績報告(第14条)→報告の審査を経た額の確定と通知(第15条)と進みます。交付決定の段階では、実績報告の審査が残っていて、受け取る額はまだ決まっていません。確定した額を超えて交付済みのときは返還を命じられます(第18条第2項)。

東京国税局の文書回答事例(平成28年12月19日回答)では、県から補助金の「交付決定及び交付額の確定」の通知を受けた法人について、通知を受けた時点で収入すべき権利が確定し、その日の属する事業年度に補助金の全額を益金に算入する、という照会者の見解が「貴見のとおりで差し支えありません」とされました。この事例の補助金は5年間で分割して支払われるものでしたが、それでも通知を受けた事業年度に全額を計上する扱いです。なお、この事例で照会者が根拠にした法人税基本通達10-2-2は、その後削除されています(令和4年課法2-14)。設備を先に買った場合の圧縮限度額は、現在は法人税法第42条第1項と同法施行令第79条の2で計算します(法人の圧縮記帳の章を参照)。個人については、タックスアンサーNo.2200が、その年の収入金額は実際に受け取ったかどうかではなく「収入すべき権利の確定した金額」だとしています。ただし同じタックスアンサーは、一定の条件に当てはまる小規模事業者等は、収入や費用の計上時期を現金の出し入れを基準とする、いわゆる「現金主義」によることを選択できる(青色申告者は届出書が必要)としています。

一方で、「補助金は交付決定の日に計上する」「額の確定の日に計上する」と一律に定めた国税庁の規定は、今回確認した範囲では見当たりませんでした。上の事例も、その補助金の交付要綱を前提にした回答で、東京国税局は「事実関係が異なる場合」は課税関係が異なることがあると付け加えています。決算をまたぐときは、交付決定通知書と額の確定通知書の日付を税理士に見せて判断してもらってください。

EMPLOYMENT05雇用関係の助成金(設備を伴わないもの)

正社員化や賃上げ、休業手当、職業訓練などに対する厚生労働省系の助成金は、固定資産の取得に充てるものではないので、圧縮記帳・総収入金額不算入の対象になりません。受け取った助成金は、法人なら益金、個人事業者なら事業所得の総収入金額になります。

法人の計上時期については、法人税基本通達2-1-42が定めています。休業手当、賃金、職業訓練費などの経費を補うために雇用保険法などの法令に基づいて受ける給付金等は、休業・就業・職業訓練などの事実があった日の属する事業年度の益金に算入し、その事業年度末に金額が具体的に確定していなくても「その金額を見積り」計上するとしています。一方、定年の延長や高齢者・障害者の雇用など「雇用の改善を図ったこと等」により受ける奨励金等は、支給決定があった日の属する事業年度の益金に算入するとしています(同通達の注)。

自社が受ける助成金がこのどちらに当たるかは、通達に助成金の名前ごとの一覧があるわけではありません。たとえばキャリアアップ助成金(正社員化コース)のように、取組みの後に支給申請をして支給決定を受ける助成金は、どちらの扱いになるかを決算前に税理士に確認してください。なお、業務改善助成金のように賃上げと設備投資を組み合わせる助成金は、設備の部分が圧縮記帳の対象になるかどうかも論点になるため、同じく税理士への確認が必要です。

CONSUMPTION TAX06消費税の扱いと「仕入控除税額」

消費税法基本通達5-2-15は、国や地方公共団体等から受ける奨励金・助成金や、補助金等適正化法の補助金等のように「特定の政策目的の実現を図るための給付金」は、資産の譲渡等の対価に当たらないとしています。雇用調整助成金のように、あらかじめ助成金を前提に休業手当などを支払うものでも同じです。補助金そのものに消費税はかかりません。

その一方で、補助金で買った設備の消費税は、課税事業者なら仕入税額控除の対象になり得ます。補助金と還付が重なるのを避けるため、省力化投資補助金(一般型)の第8回公募要領は、課税事業者(免税事業者及び簡易課税事業者以外)は交付申請の際に「消費税及び地方消費税額等仕入控除税額を減額して記載しなければなりません」としており、持続化補助金の第20回公募要領も、交付申請書は消費税等仕入控除税額を減額して申請するよう求めています。経費を税込で見るか税抜で見るかは制度ごとに違うので、相見積もりと対象外経費の記事もあわせて確認してください。

CHECKLIST07決算・申告の前に税理士と確認したいこと

  • 受けた補助金・助成金が、固定資産の取得・改良に充てるためのもの(国庫補助金等)に当たるか
  • 交付決定通知書と額の確定通知書の日付、入金日がそれぞれどの事業年度(個人はどの年)に入るか
  • 事業年度末(個人は12月31日)の時点で、返還不要が確定しているか。未確定なら特別勘定(個人は第43条)を使うか
  • 設備を先に買っていて、補助金の確定が翌期以降になる場合の圧縮限度額の計算
  • 圧縮記帳を直接減額で行うか、積立金で行うか。確定申告書に明細を記載したか
  • 雇用関係の助成金が、事実があった日の事業年度に見積り計上するものか、支給決定の日に計上するものか
  • 課税事業者の場合、消費税等仕入控除税額の減額や報告の扱い

FAQ08よくある質問

Q. 補助金は非課税ですか?
A. いいえ。事業で受けた補助金・助成金は、法人なら益金、個人事業者なら事業所得の総収入金額に入るのが原則です。固定資産の取得に充てた補助金は、圧縮記帳(法人)や総収入金額不算入(個人)で、受け取った年にまとめて課税されないようにできます。
Q. 圧縮記帳をすれば税金はゼロになりますか?
A. なりません。圧縮した分だけ設備の取得価額が小さくなり、以後の減価償却費が減るため、後の年の所得が増えます。課税を先に送るしくみです。
Q. 補助金が入金された年に計上すればいいですか?
A. 入金日が基準とは限りません。東京国税局の文書回答事例では、補助金の交付決定等の通知を受けた時点で収入すべき権利が確定したとして、その事業年度に全額を益金に算入する扱いが認められました。個人は、現金主義を選択した小規模事業者等を除き、「収入すべき権利の確定した金額」がその年の収入です。自社の補助金の時期は税理士に確認してください。
Q. 個人事業者の設備補助金は一時所得になりますか?
A. 名古屋国税局の文書回答事例は、事業用の機械装置の購入に対する補助金は事業の遂行に付随して生じた収入なので事業所得に当たり、一時所得には当たらないと回答しています。
Q. 補助金に消費税はかかりますか?
A. かかりません。消費税法基本通達5-2-15で、国や地方公共団体等から受ける奨励金・助成金や補助金等のように、特定の政策目的の実現を図るための給付金は、資産の譲渡等の対価に当たらないとされています。ただし、補助金で買った設備の消費税の扱い(仕入控除税額の減額など)は公募要領を確認してください。

CONTACT09相談先

個別の処理は、顧問の税理士か、所轄の税務署(国税庁「税についての相談窓口」)に相談してください。補助金の額の確定や返還の条件は、各補助金の事務局が出す交付規程・公募要領が基準です。当サイトは税務相談・申請代行を行いません。

※本記事は情報提供を目的とするもので、特定の税務処理を保証するものではありません。内容は2026年10月14日に、e-Gov法令検索の法人税法・所得税法・同施行令・補助金等適正化法、国税庁の通達・タックスアンサー・文書回答事例、各補助金の公募要領で確認したものです。税制は毎年の改正で変わることがあります。

出典

確認状況

最終確認日

2026/10/14

執筆

編集部

注意

制度・数字は改正等で変わります。最新の内容はリンク先の公式ページでご確認ください。

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