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業務改善助成金とは?賃上げ×設備投資で最大600万円
店内で最も低い時給を50円以上引き上げ、設備投資を行うと費用の一部が助成される業務改善助成金。令和8年度の3コースと上限額、9月1日開始の申請期間、県ごとに異なる実質締切、対象設備の例を公式資料で解説。
最低賃金は毎年上がります。「どうせ賃上げするなら、設備投資とセットで助成金を使う」という発想で設計されているのが、厚生労働省の業務改善助成金です。事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を50円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その費用の一部が助成されます(最大600万円)。この記事は令和8年度の公式案内(R8.4版)をもとに整理します。
OVERVIEW01制度の概要──賃上げと設備投資はワンセット
| 仕組み | 事業場内最低賃金の引上げ計画+設備投資等の計画を申請 → 交付決定後に実施 → 結果報告 → 費用の一部を助成 |
|---|---|
| 対象 | 中小企業・小規模事業者(みなし大企業でないこと)で、事業場内最低賃金が令和8年度地域別最低賃金未満であること、解雇・賃金引き下げ等の不交付事由がないこと |
| 申請の単位 | (労働者がいる)事業所ごと。工場と事務所が別なら別々に申請 |
| 助成率 | 事業場内最低賃金1,050円未満: 4/5 / 1,050円以上: 3/4 |
「事業場内最低賃金」とは、その事業場で最も低い時間給のこと。ただしこの助成金では、雇入れ後6か月を経過した労働者の事業場内最低賃金を引き上げる必要があります。
COURSES023つのコースと上限額
引上げ額により50円・70円・90円の3コースがあり、上限額は「引き上げる労働者数」と事業場規模で決まります。以下は事業場規模30人未満の事業者の上限額です(公式案内より)。
| 50円コース | 1人 30万円(30人未満は40万円)/2〜3人 40万円(同70万円)/4〜5人 70万円/6〜7人 90万円/8人以上 110万円 |
|---|---|
| 70円コース | 1人 40万円(30人未満は50万円)/2〜3人 50万円(同100万円)/4〜5人 130万円/6〜7人 180万円/8人以上 230万円 |
| 90円コース | 1人 90万円(30人未満は100万円)/2〜3人 150万円(同240万円)/4〜5人 270万円/6〜7人 360万円/8人以上 450万円 |
カッコ内は事業場規模30人未満の事業者だけが対象の上限額です(交付要綱 別表第1 第5欄の注記)。なお特例事業者が10人以上を引き上げる場合は別表第2の上限額が適用され、50円コース130万円・70円コース300万円・90円コース600万円になります。「最大600万円」はこの区分の金額です。
支給額は「設備投資等の費用 × 助成率」と上限額の安い方です。公式の計算例では、事業場内最低賃金1,040円(助成率4/5)の事業場が8人を90円コースで引き上げ、設備投資600万円を行った場合、600万×4/5=480万円と上限450万円の比較で450万円が支給とされています。
DEADLINE03スケジュール──実質の締切は「県ごとに違う」
| 申請期間 | 令和8年9月1日 〜 申請事業所の都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日または11月30日のいずれか早い日 |
|---|---|
| 賃金引上げ期間 | 令和8年9月1日 〜 地域別最低賃金の発効日の前日 |
| 事業完了期限 | 交付決定年度の1月31日 |
ここがこの助成金の最大の落とし穴です。地域別最低賃金は例年10月以降に改定されるため、申請の実質締切はあなたの県の発効日の前日で決まります。公式案内の例示では、10月1日に新しい地域別最低賃金が発効する場合、発効日の前日(9月30日)までに引上げを完了すれば対象、発効日当日の引上げは対象外です。さらに「予算の範囲内で交付するため、申請期間内に募集を終了する場合があります」と明記されており、待つメリットはありません。9月1日の受付開始に合わせて動けるよう、夏のうちに計画を固めるのが現実的です。
EQUIPMENT04対象になる設備投資の例
- 機器・設備の導入: POSレジシステム導入による在庫管理の短縮、リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮(公式例示)
- 経営コンサルティング: 国家資格者による、顧客回転率の向上を目的とした業務フロー見直し
- その他: 顧客管理情報のシステム化 など
パソコン・スマホ・タブレット等の端末は通常は対象外ですが、物価高騰等要件に当てはまる特例事業者は新規導入に限り対象になる場合があります(申請前6か月間平均の利益率が前年度比3%ポイント以上低下、等)。また令和7年度からの変更点として、特殊用途自動車を除く自動車は対象外になりました。POSレジの導入はデジタル化・AI導入補助金とどちらが合うか、要件と時期で比較するのがおすすめです。
COUNTING05「引き上げる労働者」の数え方と注意
- 対象労働者は週所定労働時間20時間以上の雇用保険加入者(令和7年度からの変更点として、雇用保険被保険者が対象と明記)
- 事業場内最低賃金の引上げで賃金額が追い抜かれる労働者も、申請コースと同額以上引き上げていれば「引き上げる労働者」に算入できます
- 複数回に分けての引上げは不可。一度で引き上げます
- 引上げ後の事業場内最低賃金額と同額を就業規則等に定める必要があります
PROCESS06申請の流れ
- 交付申請: 交付申請書・事業実施計画書等を、事業所所在地を管轄する都道府県労働局に提出
- 交付決定: 労働局の審査を経て通知。交付決定前に設備を導入すると助成対象になりません(公式案内に明記)
- 事業の実施: 賃金の引上げ、設備の導入、代金の支払い
- 事業実績報告 → 交付額確定 → 助成金の支払い(後払い)
同一事業所の申請は年度内1回まで。過去に業務改善助成金を活用した事業者も対象です。
FAQ07よくある質問
EXPERTS08相談先
提出先は管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)です。不明点は業務改善助成金コールセンター(0120-366-440・平日9:00〜17:00)へ。手続きの依頼先は社会保険労務士です。当サイトは申請代行を行いません。なお公式案内には、賃上げに取り組む事業者向けの融資として日本政策金融公庫「働き方改革推進支援資金」も紹介されています。人の正社員化まで進めるならキャリアアップ助成金、制度全体のスケジュールは補助金カレンダーへ。
※本記事は情報提供を目的とするもので、交付を保証するものではありません。
SOURCES / 出典
- 厚生労働省「令和8年度業務改善助成金のご案内」(3コース・上限額・助成率・申請期間・交付決定前NG・対象経費例・R7年度からの変更点) ─ https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001693416.pdf
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